設備更新費用3,000万円を回避。三次元測定器の制御PC故障から検査ラインを復旧した事例

課題

– 最終検査工程に使用していた三次元測定器の制御PCが突然起動不能に
– 導入から約20年が経過しメーカーサポートは終了
– 設備更新には3,000万円程度の突発的投資が必要と判明

導入

– 現状調査・故障診断
– PC修理・データ復元
– 測定器との接続・セットアップ
– 現地立ち上げ支援・操作説明

成果

– 三次元測定器による最終検査ライン再稼働
– 設備更新費用3,000万円規模の突発投資を回避
– 検査停止期間を最小化し出荷リスクを解消
– 今後の設備延命・保守方針が明確化

設備停止時の状況

自動車エンジンのスターター用リングギアを設計・製造する同社では、製品の品質保証において三次元測定器が欠かせない役割を担っています。ロット生産で製造されるリングギアは、穴の位置精度など三次元での計測によってのみ最終的な合否判定が可能であり、この検査工程はお客様と取り交わした検査規定に基づく、出荷前の最後の砦です。

ある朝、その三次元測定器に接続された制御用PCが突然起動しなくなりました。電源スイッチを押しても画面は真っ暗なまま。導入からおよそ20年が経過したPCでした。

「三次元での検査が全くできない状態になってしまいました」

同社には広島と呉の2工場があり、片方の検査室をもう一方がカバーする体制は存在していました。しかし社内の定期便を介した対応には必然的にタイムラグが生じます。

「幸いなことに不良品が外に出ることはありませんでしたが、もし検査が長期間できない状態が続いていたら、最悪の場合はお客様のところで不良が発見されてしまうという最悪のシナリオが頭をよぎりました」と担当者は振り返ります。

設備が止まるということは、単に機械が動かないという話ではありません。品質保証の仕組みそのものが機能を失い、出荷リスクが日々蓄積していく状況です。

設備更新という大きな課題

状況を把握した管理部門がまず頼ったのは、設備メーカーへの相談でした。しかし返ってきた答えは明確なものでした。「もう対応できません」——サポートが終了しているため、メーカーとしてできることは何もないというものでした。

残された選択肢として浮上したのが、三次元測定器ごとの設備更新です。しかしその費用は、見積もりを確認すると3,000万円程度にのぼることが判明しました。

しかもこの更新は、単に新しい機械を購入して終わりというわけにはいきません。三次元測定器を更新するということは、そこに接続されたシステム全体に影響が及びます。制御ソフトウェアが変われば操作方法も変わり、過去に蓄積してきた測定データとの互換性の問題も生じます。長年の運用の中で現場が把握していた測定器固有の癖や補正の知識も、一度リセットされてしまいます。

「新しい設備に更新すると、ソフトも変わるし使い方も変わってしまう。現場が混乱してしまうことも当然考えられました」

さらに更新工事には相応の期間が必要です。その間、検査ラインは停止したままになります。3,000万円という設備費用に加え、更新工事中の検査停止による機会損失まで考えると、実際の負担はさらに大きなものになります。

「費用がどうしても何千万円とかかるものなので、なかなか更新という決断がしづらい状況でした」と経営陣は当時の状況を話します。

当社へ相談した理由

メーカーからは「更新しかない」という回答を受ける中で、担当者がインターネットで情報を探していたところ、「ミツトヨ製測定器 PC修理」というキーワードで検索した結果として当社のページにたどり着きました。

「サイトの内容を見ていくと、修理ができる確率が高いというような記載があり、ここしかないと思いました」

複数パターンの提案が提示されたことも、依頼を決める後押しになりました。3つのプランが費用の内訳も含めてわかりやすく整理されており、状況に応じた選択ができる点に安心感を覚えたといいます。

最終的に選ばれたのは中間のプランでした。「5年間使えるならば、現在の費用感でいいのではないかと判断しました。更新を常に考えてはいたものの、数千万円規模の投資をすぐに決断するのは難しい。5年の延命という選択肢を示してもらえたことで、方向性が定まりました」

実施内容

依頼を受けた当社はまず、故障したPCの詳細な調査・診断を実施しました。導入から20年が経過した旧型機であり、部品調達ひとつとっても「調達できたとしても、必ずしもそのまま使用できるとは限らない」という制約がある中で、復旧に向けた対応が進められました。

修理・復元を経て、単にPCを動作させるだけでなく、三次元測定器と正常に連携して測定業務が再開できる状態まで整えて納品されました。さらに、現地での立ち上げ作業と操作説明も含めた対応が行われました。

「配線の接続に問題が発生したのですが、もし機器だけを送ってもらってあとは自分たちで対応してくださいという形だったら、うちでは対応できなかったと思います。測定器が実際に稼働するところまで確認していただけたのは、本当に助かりました」と現場担当者は話します。

設備を「動かせる状態」にして納品するのではなく、「実際に動いていること」を確認してから完了とする——この姿勢が、現場の不安を取り除きました。

導入後の結果

対応完了後、三次元測定器は正常に稼働を再開し、最終検査工程は復旧しました。停止していた期間中に積み上がっていた検査対応の遅延は解消され、通常の出荷体制に戻ることができました。

設備更新を行った場合に必要だったとされる3,000万円程度の突発投資は、回避することができました。5年間の延命という選択肢を取ることで、資金計画を大きく乱すことなく設備を継続利用できる見通しが立ちました。

今回の経験を通じて、社内での設備管理に対する意識にも変化が生まれました。「突発故障が起きてから動くのではなく、リスクに備えた先行管理をしておくべきだったという反省があります。特に古い設備については、壊れてから考えるのでは遅いということを実感しました」

お客様の評価

今回の対応について、総合的な評価を問うと「対応はとても良かった。強いて言えば費用面でもう少しという気持ちはありましたが、90点は付けられます」という回答が得られました。

費用への率直な感想はあるものの、そこに込められた意味を丁寧に読み解く必要があります。今回の「修理延命費用」は、3,000万円の設備更新費用と比較すべきものです。パソコン修理費用として単体で見れば「高い」と感じるかもしれません。しかし設備更新という選択肢と並べたとき、その費用対効果は明らかに異なります。

「新規で購入する費用と、修理して5年間使い続けることのコストを比較したとき、今の段階では延命の方が合理的だと判断しました」

また、今後も同様の課題が発生した場合には「対応を含めて候補として検討する」という意向も示されており、継続的な関係構築に向けた前向きな姿勢が伝わりました。

「同じような悩みを抱えている企業があれば、こういった会社がありますよと紹介できます」

本事例が示す本当の価値

今回の事例において、当社が行ったことはPCの修理です。しかしこの事例の本質は、PCを直したことにあるのではありません。

三次元測定器という生産・品質保証の根幹を担う設備を止めないこと。3,000万円規模の突発的な設備更新投資を回避すること。そして現場の混乱や出荷リスクを最小限に抑えながら事業を継続すること——これが今回の本当の成果です。

設備が古くなり、メーカーのサポートが終了したとき、多くの企業が「更新しかない」という選択肢の前に立たされます。しかし実際には、修理・延命・予備機製作・仮想化など、設備を継続利用するためのアプローチは複数存在します。大切なのは、「今すぐ数千万円を投資して更新する」以外の選択肢を知っているかどうかです。

「古い設備は時限爆弾」という言葉があります。いつ止まってもおかしくない状態の設備は、止まった瞬間に突発的な大型投資を迫ります。その爆発が起きる前に、設備延命という選択肢を検討しておくことが、製造業における事業継続リスク管理の一つの答えかもしれません。

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